どうも、中途失聴のはるくです。
2019年10月17日に行われた第46回障害者政策委員会の傍聴に行ってきました。はじめての傍聴です。
行く前はまったくどんなものかわからなかったんですが、実際に委員会の様子を見ることができとてもよい経験になりました。
日常生活に関わる政策の方針が、どのような場で、どのような人達による話し合いで決められているのか知ることで、政治が生活につながっていることを少し実感できたように思います。
また単純に議論の内容がおもしろかったです。
障害者サイドからの意見、事業者サイドからの意見、それぞれの意見に対して質問や意見を出し、ある意見はスルーされ、わざとかどうかはわかりませんが論点がずらされたり、政策も人間が会議で決めてるんだなとしみじみとなりました。
一度傍聴にいってみるのもおもしろいと思います! 余裕がある方はぜひ!
傍聴は国の行政機関だけでなく、裁判所や市町村でも行っています。申し込めば誰でも無料で参加可能。
今回の委員会の議題であった「障害者差別解消法の見直し」について考えるところがあったので、会議の内容とともに少し書いてみたいと思います。
目次
合理的配慮を合理的調整に
今回の委員会の議題の一つが、障害者差別解消法の見直しについてです。
現在民間企業や事業者に対して、合理的配慮の提供は努力義務となっています。これを義務とするべきなのか、経団連と商工会議所がどのように考えているのか示されました。
どちらも義務化には慎重な姿勢であることがうかがえましたが、議論の中で発言された委員長の静岡県立大学教授である石川先生の意見がとても興味深かったです。
それは現行の「合理的配慮」という表現を、「合理的調整」に変更するべきではというもの。
「配慮」という単語では、国民の理解に齟齬が生じやすいのではないかとのことでした。
実際に障害者権利条約の原文を見てみると、合理的配慮は「reasonable accommodation」となっています。これは合理的配慮と言うよりは合理的便宜とか合理的調整という意味合いの方が適する語彙です。
石川先生もreasonable accommodationから合理的配慮と訳せても、合理的配慮からreasonable accommodationに訳せないと言っていました。
いらぬ誤解の元になってしまう恐れがあります。
実際に意見を述べた経団連と商工会議所の人は、合理的配慮の意味を正確につかんでいるか少し疑問に感じました。
そもそも合理的配慮は、感情とはきりはなされたところにあるものです。
障害者側としては、ただ交通機関へのアクセスの保障や、催しなどへの参加の機会の均等を求め、その方法を建設的対話という話し合いに応じてもらうことを義務として対応してほしいのに、事業者側は配慮という優遇や特別に親切にしないとけなくなることが義務となってしまうのではないかのような印象をもっているように感じました。
一個人が障害を起因とするなんらかの配慮を組織に申し出たとき、組織は門前払いするのではなく、まず話し合いに応じなければならないことを義務として定めたものが障害者差別解消法です。
例えば聴覚障害者が大学の講義に参加できないから情報保障を頼むとき、公的機関が対応することは当たり前であるということを定めたものであり、その情報保障が手話通訳なのかパソコンテイクなのか、それともまた別の方法なのかは当事者と機関の建設的対話によって決められます。機会の均等(ストートラインに立てること)が根本にあるのです。
障害者が申し出たものを必ず実現しなければならないわけでもありませんし、特別に親切にしないといけないわけでもありません。(過度の負担とならない範囲と条文に入っています)
そうした意味でも、配慮という言葉には英訳するとケアという意味もあり、本来なら合理的配慮に含まれないものまで障害者が求めるようになってしまう可能性もあります。
双方にとって「配慮」という言葉が独り歩きしてしまっているようで、現在の状況が続くと障害者側だけでなく、事業者側も不利なことになっていってしまう恐れがあるのではないかと感じました。
「配慮」という単語はとても扱いが難しく、「調整」という無味乾燥な単語を使うことで、企業側の不安も軽減されるのではないかなと。
事業者側は義務化されることで、建設的対話をする柔軟な姿勢が損なわれる可能性があることから慎重になっているようでしたが、そもそも建設的対話は合理的配慮の中身に含まれるものであり、義務化したからと言って対話がなくなるわけがありません。論点がずれているような印象を受けました。
議論の様子を見ていて、変更する可能性のほうがまだ低そうだと感じましたが、そうした点を感じられるのも傍聴のメリットだと思います。
それにしても国の委員会で、こんな話が聞けるとは!
もっと当たり障りないことを話しているイメージでした。
傍聴する方法と情報保障
傍聴する方法はかんたんです。
国や市町村などのページから日程や新着情報を見て、聞いてみたいものがあったら申し込みます。
必要事項を入れて申し込みすると締め切りからしばらく後に、メールで連絡があります。申し込みが多く抽選になり外れた場合は特に連絡はないようです。
手話通訳や車椅子など何らかに配慮が必要な場合はその旨を必ず記入しましょう。
私はパソコンテイクをお願いしたい旨を記入し、当日椅子の前にモニターが設置されそこに文章が表示される形式でした。
モニターには手話通訳者とパソコンテイクの文字が3行、現在の発言者の様子の3つが表示。リアルタイムで映され、とてもわかりやすかったです。
メールに傍聴券が添付されているので別に送られてきたパスワードを入力してダウンロード。印刷して当日身分証と一緒に持っていきました。
受付を済ませて会議室などに入ったらあとは聞くだけです。
傍聴は新しい体験ができる機会
委員会の傍聴に参加して、自分の生活に直接影響があるものがどのように話し合われているのか身近に感じることができました。
意見に賛同する先生やそうでもない先生など、いろんな人がいることがわかります。
傍聴を通して誰から情報を得るとよいのかや、これは誰が決めたのかなど政治を少し身近に感じることができるのかなと。都合が合えば次も行ってみたいと思います。
余裕がある方はぜひ一度参加してみてはどうでしょう!
きっとこれまでにない体験になるはずです。
次回47回審議会は11月14日、48回は12月12日に行われるそうです。予定が変わることもあると思うので、興味がある方は公式ページを確認してぜひ!
服装はスーツではなく、黒のパンツにジャケットでしたが特に問題ありませんでした。写真はもちろん、傍聴なのでさわがしくしたり発言したりもだめです。基本的なマナーに気をつければ、問題なかったです。
その他気になることがあれば、コメントなどでお答えします!