どうも、ハルクです!
私は映画が大好きです。月に一度は映画館にいってます。
そんな映画好きの難聴者として、見逃せないアナウンスがありました。
なんと日本語字幕を見るための、メガネ型デバイス(スマートグラスMOVERIO)が全国4つの映画館で貸し出されるそうじゃないですか。
これを体験せざるして映画好きを名乗れるかと、速攻で予約して映画を楽しんできましたよ。
テクノロジーの進歩が生活を豊かにするという意味を心の底から実感する体験でした。
どんな体験だったのか、良かった点や気になった点など書いてみたいと思います。
6月8日公開!映画『万引き家族』でも!
イオンシネマ シアタス調布、川崎チネチッタでメガネの貸し出しも実施!!!https://t.co/vKgeNN3gUb— 「メガネで見る字幕ガイド」特設アカウント (@subtitles_smart)
目次
スマートグラス「MOVERIO」ってなに?
体験について書く前に、どんな機器を使ったのか説明します。
MOVERIOはコピー機で有名なEPSOMが発売しているスマートグラスです。
私もはじめはよくわかってなかったんですが、これはスマートフォンを例に考えてみるとわかりやすいです。
スマートフォンを日本語にすると「賢い電話」になります。もともとは最低限の電話機能しかなかったのに、インターネットにつなげられたり便利な機能がたくさんついたりして、ただのフォン=電話からスマートフォン=賢い電話になりました。
それと同じようにただの眼鏡=グラスにインターネット接続機能やいろんな便利機能がついたものが、「スマートグラス=賢い眼鏡」になります。
(いまは眼鏡もインターネットにつなげる時代なんですね。まだ20代ですが、すでに時代についていけてない感があります笑)
スマートフォンはAppleが出しているiPhoneや、SONYが出しているXperiaなどいろんな機種があります。
それと同じくEPSONが出しているスマートグラスが「MOVERIO」です。他にはSONYが出しているSmartEyeglassなど、スマートフォンと同じくいろんなメーカーがそれぞれ機種を出しています。
スマートグラスの特徴は拡張現実にあり!
スマートグラスの特徴はAR(拡張現実)にあります。文字通り現実を拡張することができるんです。
(よく似たものにVR(仮想現実)がありますが、PlayStationVRに代表されるようにそちらは没入できる点が特徴です。機器はヘッドマウントディスプレイと呼ばれてますね)
スマートグラスはどんなふうに見えるのか、下の動画を見てみてください。
肉眼で見えている現実の世界に、スマートグラスによってデジタルな情報をつけくわえることができます。まさしく現実の拡張です!
MOVERIOは上の動画のように現実とディスプレイの映像を同時に見ることができるという特徴があります。(こうした機種をシースルータイプといってます)
肉眼で見えている映像をMOVERIOによって拡張し、映画と日本語字幕を同時に見ることができるようになるというのが、今回私が体験したことです。
- 【肉眼:字幕なしの映像】+【MOVERIO:日本語字幕の文字情報】=(自分の視界だけ)日本語字幕付き映画になる
つまり、字幕のためにMOVERIOがあるのではなく、MOVERIOでできることの一つとして、UDCastというアプリをいれてあることによって字幕が表示されるのです。
カメラアプリで写真を取ったり、LINEをインストールして友達とやりとりしたりということとと同じことですね。
スマートグラスMOVERIO体験レビュー
やっと体験レビューです笑
私が実際に体験する前に、これはどうなんだろうとわくわくしながら考えていたことをもとにレビューを書いてみます!
MOVERIOの外見は?重さは?つけ心地は?
(実際に受け取ったMOVERIO一式)
外見はものすごくスマート。未来を先取っているようなデザインです。
眼鏡の私でもスムーズにかけることができました。つるの先端が重ならないよう微調整が必要ですが、その後はとくに違和感はありません。
耳掛け型の人工内耳をしていると、かけるスペースがギリギリになってしまいますが、アグレッシブに動きながら観るわけじゃないので、とくに問題はなかったです。
カタログによると重さは69グラム。体感としては3Dメガネの2倍から3倍くらいといった感じでした。
メガネの重みも合わさって、しっかり重みを感じましたが、映画への集中が切れてしまうほどではなかったです。
つるの部分が左右にバネのように動くようになっているので、頭の形にしっかりフィットします。頭をブンブン振っても落ちたりしません。勝手にずれ落ちて字幕の位置が変わったりするのはストレスがたまりそうなので、グッドな設計だと思います。
ウェアラブルデバイスとして作られているので、3Dメガネより断然つけやすく違和感も感じない作りになってました。
(よく考えたら7万以上するMOVERIOと100円追加でくれる3Dメガネのつけ心地が同じなわけ無いですね笑)
スマートな外見なので、人の目も気になりません。むしろ「こんなかっこいいデバイスを持ってるんだぜ。かっこいいだろ。もっと見てくれ」な感じでした。
一つ気になったのは鼻あての硬さです。私がメガネだからかもしれませんが、全体の重みが鼻あてに集中して、劇中何度か浮かせたりていました。柔軟にフィットする柔らかい素材にすると、長時間の使用でも快適に使えると思います。
と思ったんですが、記事を書いているときに調べていたらメガネの人向けの案内がありました。これから見にいくメガネ同志は参考にしてください。
(追記) あとで問い合わせてみたところ、こちらは以前までのバージョンでできる機能で、貸し出されているスマートグラスの鼻あては固定されているとのことです。
(UDcastホームページ利用ガイドより引用)
受け渡しは?操作しなくても大丈夫?
(いただいた説明書)
- 自動発券機で、ネットで予約したチケットを発券する。
- スクリーンへの入り口で、MOVERIO予約のスマホ画面を係の人に見せる。
- MOVERIO一式を受け取る。
- 時間までに席へ行き、MOVERIOを目にかける。
- 上映開始時間になると、自動的に字幕が始まる。
- 終わったら係の人に返す。
やることはこれだけでした。自分でなにかを操作したりする必要はまったくありません。
MOVERIOも首にかけられる紐がついて、首にかけてくれるので、なくしたり誤操作してしまう可能性も低くなっています。
受け渡しの際に、「声でわかりますか?」と聞いてくれたので、一部筆談でお願いしました。MOVERIOを借りる人は聴覚障害がある人だということをちゃんとわかってくれてる感じがありましたよ。
一緒にかんたんな説明の紙を渡してくれたので、上映が始まるまでの時間を「なにか説明聴き逃して字幕がながれないなんてことないかな?」といたずらに不安を感じずに落ち着いて待つことができました。
せっかくの映画なのに、そわそわしながら落ち着かないのはもったないことです。その点、紙も一緒に渡してくれたのはすごくありがたかったです。
日本語字幕はどんな感じ?
(セリフはイメージです)
結論から言うと、びっくりするくらい快適でした。
フォントはメイリオか、または近いフォントで読みやすく、サイズもちょうどよい大きさです。
通常の日本語字幕との大きな違いは、頭の動きにあわせて字幕の表示位置を自由自在に変えれることです。
日本語字幕の位置は通常スクリーンの下部に固定されています。いわゆる「焼き付け字幕」ですね。デジタルデータに最初から焼き付けてあるものです。
しかし「スマートグラスで見る字幕」は、自分の視界に字幕という情報が付け加えられたものなので、当然自分の視界に合わせて自由自在に動きます。
例えば今回見た映画『三度目の殺人』は福山雅治が主役を演じています。
その福山雅治が喋るシーン、字幕の表示位置を福山雅治の口元にもってくるなんてこともできるわけです。
これがおもしろい!表示位置を動かせることで、ここまで映画体験が変わるとは思ってませんでした。
他にも天井に字幕を表示させてみたり、手に当てたら透けて見えたり、いろいろおもしろい体験ができました。
もちろん良いことばかりじゃありません。
固定された焼き付け字幕とちがい、自分の視界に依存しているので、リラックスして体を傾けたりすると、あたりまえのように字幕も傾きます。
目線を水平に保っておかないと字幕が読みにくい感じはありました。私は体を傾けることはないので気にならなかったですが、いつも肘に体重をかけてみたりしている人は違和感を感じるかもしれません。
文字の大きさや色も現時点では変えられません。
背景が薄い色調になると、白色の字幕は見えにくくなりますが、そこは表示位置を変えることで解決できます。
ときどき表示位置を変えるのはおもしろいんですが、背景によって頻繁に変えていくのはつかれるので、定位置としてスクリーン上部の黒い余白に字幕をおくことで、安定して楽しむことができました。
字幕は聴覚障害者用のバリアフリー字幕が流れます。
(殴る音)、(足音)や「(重盛)ごめん」などこれまでにもある邦画の日本語字幕上映の字幕と同じものでした。 とてもありがたいです!
座席の位置は後方でいいのか?
事前に運営から座席は後方を推奨されていました。
その通り、後方席で見たんですが正解でした。すくない動きで字幕の表示位置を変えることができるのと、負担のない楽な姿勢になったときの字幕位置がちょうどスクリーン上部の黒い余白に来るので、リラックスして見ることができました。
なにより前だとスマートグラスで映る画面の大きさが小さくなってしまうので、必然的に字幕が映る範囲も小さくなってしまいます。
劇場によって細かい位置は変わってきますが、後方中央席が一番よいと思います。
MOVERIOで映画がもっと楽しくなる!
今回劇場に入ったとき、ぎょっとしてしまいました。
邦画をあんなにたくさんの観客と一緒に観ることははじめてで、あまりもの人数に一瞬入る場所間違えたかなと思ったくらいだったんです笑
邦画の日本語字幕上映では、そこまで人数はいませんし、小さいスクリーンということもよくあります。
しかし今回、たくさんの観客と一緒に特大のスクリーンで映画を観ることができました。
もともと楽しかった映画が、もっともっと楽しくなる感覚がありました。
MOVERIOのEPSON、UDCastのPalabra株式会社、今回の機会を作ってくれたMASCに心から御礼を言いたいです。ありがとうございます!
今後普及が進んだら、友達と映画行くときに「字幕ないから邦画はちょっと…」なんてことはなくなると思います。
たくさんの人が利用して、必要であることをメーカーや映画館に伝えていくことで、普及のスピードも変わっていくでしょう。
体験を終えて、これからのこと
観賞後にきたアンケートの中に、ドキッとくるものがありました。
映画館がメガネ機器を貸し出せば、障害者割引きは不要だと思いますか?
これまで映画は障害者手帳を使った割引価格で観ることがあたりまえになっていて、中途失聴した直後はともかく、いつしか考えることもなくなっていた質問です。
とても悩みましたが、私は「そう思う」を選びました。
今回の体験はそれほど衝撃的だったんです。聴覚障害者用字幕があり、対応していたら日程を気にせずいくことができ、同じように映画を楽しむことができました。
BGM、音楽についてはなやみましたが、映画館が高価なメガネ機器を貸してくれるならば障害者割引はフェアじゃないと感じます。
とはいえこれは個人の考えです。
ぜひスマートグラスで見える字幕を体験して、それぞれで考えてもらえたらなと思います。
書いてないことで、気になることなどあればコメントやtwitterのリプライなどくれれば分かる範囲で答えますので、いつでもどうぞ!
他にも、MOVERIOの体験をブログで記事にしている方がいました。
複数の視点で見てみることはとても大切なことだと思います。ぜひトミカさんの記事も見てみてはどうでしょう! 私とはまた違う体験談でしたよ。
スマートグラス「MOVERIO(モベリオ)」体験談|流れる雲のように
またこれを体験した2017年から2年後の2019年にメガネで見る字幕ガイドのモニターを経験しました。手元にずっとMOVERIOがあることで、映画館でのレンタルとはまた一味違う体験ができました。記事を書いたのでぜひ読んでみてください。
MOVERIOがあれば対応作品の上映では字幕がつくぞ
今回スマートグラスモベリオの貸出によって邦画を字幕付きで見ることができました。
けれど実は自分でモベリオをもっているなら、対応作品を字幕付きで見ることができます!
必要なものはモベリオ本体と別売りのマイクだけです。そしてモベリオにUDcastという字幕を表示するアプリを入れるとマイクが映画の音声を自動的に拾ってスマートグラス上に日本語字幕が表示されます。
別売りのマイクを購入するためには、UDcastのホームページからお問い合わせが必要です。
対応作品はUDcastを開発している会社のホームページから見ることができますよ。
モベリオとUCcastを使って日本語字幕を表示し、思う存分映画を楽しみましょう!