人工内耳の手術には入院が必要です。
どうも! 人工内耳を装用しているハルクです。今回人工内耳を装用するための手術を行うため1週間入院しました。
はじめての入院生活だったので、いろいろ戸惑うことがありました。これから入院する人の参考になるかもしれないので、入院してからの流れを簡単に書いてみます。
あくまで自分が入院した大学病院での場合なので、まったく同じということはないと思います。また私は20代の成人です。手術後の経過や痛み、副作用などは個人差が大きいです。それをふまえてご覧ください。
人工内耳のリハビリと適応についてはこちらの記事に書きました。
目次
人工内耳手術の入院期間
私は8日間入院しました。金曜日に入院して次の週の金曜日に退院です。
手術は月曜日に行ったので、手術をしてから3日後に退院でした。めっちゃスピーディーですね。
術後の経過を見て入院期間が長くなることもあるそうです。基本的には1週間ほどになると思います。
ここから入院した金曜日から退院した木曜日までの生活について見ていきましょう!
1日目:金曜日 入院受付から医師の説明など
入院受付と看護師さんの説明
入院生活がはじまります。必要書類をもって入退院受付へいき手続きを行いました。
入院案内には特に予定などがない場合は、午前10時ごろに来てくださいとありましたが、予定があったので午後1時ごろの手続きです。そのせいか受付はものすごく空いていたので、病院へ来る時間を聞かれたときは、設定された時間より少し遅めにいくとよいかもしれませんね!
その後案内されたフロア階のナースセンターへ行き、到着をつげると病室へ案内されました。4人部屋で窓側だったのでラッキーです。持ってきた荷物をほどき、一息つきます。
その後担当の看護師さんがあいさつにいらしました。自己紹介と、入院生活の説明、アレルギーや内服薬の確認、意思疎通の方法などの確認です。意思疎通についてはすでに片方人工内耳をつけていたので、マスクをずらして口をはっきり動かして話してもらいたいことと、どうしてもわからないときは持参したブギーボードに書いてもらいたいことを伝えました。
またこのとき月曜日の手術の時間と、それにともなう断食、断飲時間が伝えられました。手術前はご飯も水もとってはいけません。
- 手術:月曜日午後1時ごろから
- 断食:日曜日夜0時から1日
- 断飲:月曜日8時50分から手術終了から3時間後まで
医師からの手術についての説明
その後担当医師から手術の説明がありました。正式な手術名は人工内耳植込術というそうで、以下の内容が書かれた紙を受けとり説明を受けました。説明を受けたあと納得したら同意書にサインして渡します。
- 病名や病状
- 治療の必要性
- 治療の内容
- 治療の一般的な経過・予定と注意事項
- 鎮静と疼痛
- 期待される効果・成功率
- 予想される危険・合併症・副作用と対処方法
- 他の治療方法の有無・比較
- 他の治療方法の選択の自由について
- セカンドオピニオン
- 同意はいつでも取り消せること
- 遠慮なく質問いただけること
これとあわせて、輸血と血漿・組織成分製剤を使用した治療についても説明を受け、同意書にサインしました。
手術や治療について聞きたいことがあれば、その場でなんでも聞きました。次に担当の医師と会えるのは手術室だったので、気になったことはなんでも聞いておくとよいと思います。
その後、麻酔科医の先生がいらっしゃって同じく麻酔の説明と納得したら同意書へのサインがあります。アレルギーや内服薬、アルコールをつけたときに過剰に反応しないかどうかなどの確認がありました。
2・3日目:土日曜日 外出
土曜日は友人と会うため外出しました。事前に担当の先生に許可をもらっておけば外出することができます。
看護師の方に何時から何時まででかけるか伝え、書類にサインをしてからでかけます。昼前からでかけて、昼ご飯と夜ご飯は外で食べました。病院のご飯はおいしいはおいしいのですが、量が少なくうすあじです。ステーキを食べてリフレッシュしました!
日曜日は手術前日なので、一日病室で安静にしていました。看護師の方から手術についての最後の確認があります。手術の流れや時間、注意点などです。担当の先生も来てかんたんな診察と、手術をする方の耳たぶにマジックで印をつけていきました。
また手術前日ということで優先的にシャワーの時間を予約できます。家から持ってきたシャンプーできれいにしました。
4日目:月曜日 手術当日
いよいよ手術当日です。
人工内耳手術前の準備
前日に受けた説明どおりに準備を整え、呼ばれるまで待機します。一日ご飯は食べれないので、朝ご飯はもちろんありません。
- 渡された手術着に着替える
- 体温と血圧、体重の測定
- 男性はひげをしっかりそっておく
- 口内にいれるので歯磨きもしっかり
- 指輪、時計、ヘアピン、ピアスなど身につけているものははずす
- 髪の長い人は金属のないゴムでしばる
- 時間が近づいたらストッキングをつける
- 午前10時以降に手術する場合は点滴で水分補給をする
- トイレは朝と手術前に行っておく
準備ができたら看護師さんが呼びにきます。1時からの予定でしたが、前の手術が長引き2時半くらいからの開始になりました。ここまで朝からなにも口にしていないので、めちゃくちゃお腹が空きます。映画など見てまぎらわせようとしても、なかなか効果はありませんでした。5分に一回は来てくれた家族に「お腹空いた…」と言ってた気がします。
手術室へGO!
時間が来ました。手術室まで歩いて向かいます。
手術室に入ると、10人くらいの人がいて「よろしくお願いします」とあいさつしてから手術台へ横になりました。それから名前と生年月日、人工内耳を植込する耳を聞かれ、身体の状態をモニターするための機械がたくさんとりつけられました。
事前にお願いしてブギーボードを手術室にもちこむことができたので、基本的には唇を読んで、わからないときはブギーボードに書いてもらえるようお願いしました。基本人工内耳の手術ということで話しかけられるときはみなさんマスクをずらしてくれるので、ほとんどは問題なく読み取ることができました。
とは言っても、手術は大変なことなので読み取りに不安があれば遠慮することなくブギーボードに書いてもらうようお願いしました。
準備が終わると酸素マスクを口につけ全身麻酔がはじまります。しばらく腹式呼吸をしているとあっという間に意識がすいこまれていく感覚がします。ふだん寝ているときのように時間の経過を感じることも、夢を見ることもなく次に気づいたときにはいつのまにか手術が終わっているという感じでした。
私は今回右耳の手術で1年ほど前に左側の手術をしたのですが、前回は病室で目が覚め、今回は手術室で目が覚めました。まだ管が口の中にはいっていたので、気持ち悪くて思いっきりむせました。正直このときがいちばんつらかったです。手術中は意識もないのでまったく痛みなどは感じませんでした。
今回の手術では使いませんでしたが、場合によっては手術前に自分で買って看護師さんに渡した手術用の下着であるT字帯をつけることもあるみたいです。看護師さんに下着をつけてもらうのは恥ずかしいですが、麻酔中で意識がない状態なら平気だと思うしかないですね。
髪の毛は麻酔がきいてから必要なところだけそってくれたようです。確認したら、耳の後ろの髪の毛を3cmくらいそっているだけで、正面から見たらわからないほどです。包帯がとれたあとお見舞いにきてくれた友人からは「本当に手術したの?」と言われました(笑) 耳にかかる髪型の人は、ほとんど気にならないと思います。
そして病室へ
ストレッチャーに乗せられて病室に運ばれます。この時点では意識はあってもものすごくあいまいでした。
頭にぐるぐる包帯がまかれています。麻酔の影響で意識もばんやりしているので、はじめはあまり痛みも感じませんが、少しずつ意識がはっきりしてきて痛みも感じるようになりました。
それでもまだまだぼんやりしているので、眠ったり起きたりをくりかえす感じでした。
前回ほどの痛みではありませんでしたが、それでも確実に痛みはあるので、家族がそばにいてくれるととても心強かったです。一人だとひもじくて耐えきれなかったかもしれません。とにかくここは耐えるしかありませんでした。
とてもじゃないけど立ち上がれないので、トイレには行けず尿瓶を用意してもらいます。
手術終了から3時間たつと、体調を見ながら酸素マスクをはずします。食べ物は無理ですが、水分補給もOKになりました。
そして夜です。この夜が入院生活でいちばんきついものでした。
昼間から夕方まで麻酔の影響で寝ていたので、なかなか眠くなりません。また手術した耳の部分が痛むのでなおさら気になって眠れません。すこし眠れてもすぐにしばらくしたら起きてしまいます。
手術した箇所を下にしてはいけないので、寝返りもほとんどうてず時間がはやくたつことを祈りながらベッドに横たわっているしかありませんでした。スマホをいじると気持ち悪いので、本当に横になっていることしかできないです。アイスノンが貸出されていたので、枕のしたにひいたら少しだけ楽になりました。
痛くて眠れないときは、ナースコールで看護師さんを呼んで痛み止めを処方してもらうことができます。今回はものすごい痛みではないのでもらいませんでしたが、前回の手術のときは涙がでるほどで、痛み止めを処方してもらいました。
とにかく時間がたつのがじれったいほど長いです。それにくわえて丸一日なにも口にしてないので、空腹感もおそってきます。長い長い夜でした。
5日目:火曜日 手術後の検査と診察
長い長い夜が明けました。丸一日ぶりのご飯です。手術後のご飯はすべて粥に。梅もついてめちゃくちゃおいしく感じます!
術後の状態を検査するため、午前中にレントゲンを撮りにいきます。前回の手術は痛みがまだのこっていたんですが、今回はすでにほとんど痛みはありませんでした。個人差が大きいみたいです。
その後身体の状態を見て点滴を外し、主治医の診察がありました。レントゲンの画像を見ながら手術は成功したことを伝えられ、包帯を外し手術した箇所を診察してもらいました。
そして炎症をおさえるステロイド剤とネキシウムカプセルを処方され病室に戻ります。ステロイド剤は残存張力を少しでも残すのにやったほうがよいとされいるみたいでした。3日分朝ご飯のあとに薬を飲みます。
包帯をはずし耳をさわると、すごく乾燥したような感じでかさかさします。傷口を写真で撮ってみるとけっこうグロいので、絶対にさわらないように注意して過ごしました。なにかの拍子にぶつけたりしないよう、トイレ以外はずっとベットで本や映画を見ての生活です。運よく今回は痛みもあまりないので、ぜいたくな時間です(笑)
6日目:水曜日
起きたらいつもどおり、体重と血圧、体温を測ります。これは毎日やっていました。
痛みもなくさわやかな朝です。毎日身体をふくためのふきんが配られるので、身体をぬぐってリフレッシュ。朝ご飯を食べたら少し歩いて、ひげ剃りと歯磨きをしてブログを書いたり本を読んだり規則ただしい生活をおくると回復も早まると思います。
その後は診察がありました。傷口の確認で1分程度で終わりです。
さらにリハビリを担当する言語聴覚士の先生がいらして、音入れの日程を決めました。通常は1週間後以降のことが多いそうですが、私の都合で退院日である金曜日に音入れを行うことになりました。
7日目:木曜日 シャワー解禁
この日も9時ごろに診察があり、傷口を見てすぐに終わりました。経過は順調と言われ、今日からシャワーを浴びても大丈夫だそうです。3日ぶりのシャワーでした。
耳がかたまっているような違和感はありますが、痛みはほとんどありません。ときどきつばをのみこむと少し痛むくらいでした。
本来なら今日退院だったんですが、音入れの予定が明日金曜日になったので入院期間が1日のびました。本来耳に入れた磁石やインプラントが定着するために、音入れはもう少しあとになることが多いそうですが、今回は前回の手術の経過もあわせて少し早めにやることができるようです。
また明日が退院なので、入院費用や退院後の連絡などがありました。食事代など保険適用外の費用は7,000円ほど。患部はごしごし洗わないこと、傷口に雑菌がはいって赤くなったり痛くなったりしたときは受診すること、適度な運動を心がけることなど知らせてくれました。
8日目:金曜日 退院
いよいよ退院です。朝ご飯をいただき、軽い診察をうけて退院オッケーと伝えられました。
入退院受付で諸費用をはらい、おわかれです。7泊8日お世話になりました!
人工内耳入院生活のそれぞれ
ここまで入院生活を上から順に見てきました。最後に入院生活のなかで気になるポイントをそれぞれ見ていきましょう。
入院生活中の食事
食事は入院前にアレルギーがないか聞かれ、それぞれにあった食事が配膳されます。
病院なのでバランスはとてもよいです。しかし味はすこし薄めで量も少し少ないです。また手術後の食事はすべてご飯がお粥になりました。
美味しくないということはまったくなく、全体的に普通でフルーツなどおいしいものもあります。お粥はちょっと慣れなかったので、コンビニで梅干しを買って一緒に食べてました。
いくつかご飯の写真をのせます。
手術後の朝ご飯
ある日の夜ご飯
足りないときはコンビニでなにか食べましょう!
入院生活中のシャワー
入院中はシャワーのみでお風呂には入れませんでした。
ナースステーションで当日のシャワーの時間帯を予約することができます。早いものがちでした。手術前日は看護師さんからシャワーをするよう指示があるので、同じように予約を取りました。
手術後はしばらくシャワーは禁止になります。私は手術してから3日後にシャワーの許可がでました。
入院生活中の運動
入院中はなかなか運動ができません。しかし手術の成功のためには体力の維持も大切です。
病棟内を散歩したり、ベッドのうえでかんたんにできる筋トレなどをすると、体をすっきりさせて入院生活を過ごすことができました。外出許可がとれたら、ちょっと近くまで遊びにいくのもよいですね。
ポケモンGOなどスマートフォンでできるゲームをいれると、自然と運動したくなります。
規則正しい入院生活で手術の成功を!
入院する目的は、人工内耳の手術をおこない成功するためです。
人工内耳の手術は方法が確立された失敗はほとんどない手術だと言われています。
だからといって絶対になにかが起きないというわけではありません。主治医や看護師さんのことをよく聞いてしっかり準備をしてからのぞみましょう。
そのためには早寝早起き、しっかり食べて、適度な運動をすることが大切だと思います。ベストなコンディションで手術にのぞみ、リハビリにむかいましょう!
手術はスタート、リハビリこそが人工内耳を日常生活で使えるようにしていくためのステージとなります。
実際に体験した入院生活をかんたんにふりかえってみました。お役にたてることがあればいいなと思います。聞きたいことなどあれば、コメント欄かツイッターまでどうぞ。
手術の成功をいのっています!